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先駆者の苦悩

こんにちは、ママ先生です。

今回も引き続き、神奈川県民ホールの公演に関わる内容を紹介させてください。 バレエの演目は「パキータ」でした。これを演出したのが、日本のバレエ界の至宝と言われる岩田守弘さん(53歳)です。岩田さんは19歳でロシアに渡り、その後ボリショイバレエ団に入団して、外国人初のソリストになりました。退団後は、ロシアの二つのバレエ団の芸術監督を務めて、2022年に日本に活動の拠点を移してからは、日本のバレエ界の発展に尽力しています。そして、この10月に惜しまれながら現役のダンサーを引退しました。 このように岩田さんの経歴を見ていくと、順風満帆なエリート街道を歩いてきたようですが、実は岩田さんは、想像を絶する「先駆者の苦悩」を抱えてきた方なのです。私は以前、岩田さんのドキュメンタリー番組を観たことがありました。岩田さんは日本人初のボリショイバレエの団員になりましたが、そこは当時は外国人に対して排他的な考え方が蔓延していたため、岩田さんは技術的には誰にも負けないくらい上手だったのに、舞台にはまったく出させてもらえませんでした。それどころかやっと与えられた役が「着ぐるみを着た猿(ゴリラだったかも?)の役」でした。彼の奥様(ロシア人でバレリーナ)は嘆き悲しみ、彼の実力を侮辱していると怒って、岩田さんにその役を下りるように訴えますが、岩田さんは「僕は与えられた役を全力で踊るだけだ。」と、その役を受け入れます。彼は徹底的に猿の動きを研究して、猿の役を見事に演じ切りました。すると、その踊りが脚光を浴びて絶賛され、そこから岩田さんにはいろいろな役がくるようになって、ソリストにまで上り詰めたのです。普通ならば、人種差別といってもいいほどの不当な扱いを受けた段階で諦めてしまうと思います。さらに屈辱的な配役をされたら、耐えきれないのが普通です。それでも自分の踊りを信じて貫き、ロシア人の心を動かした岩田さんは、本当に強いし素晴らしいと思います。このように、岩田さんは日本のバレエ界を切り拓いてくれた人ですが、きっとどのジャンルにも先駆者がいて、彼らの土台があってこその「今」があるのだろうなぁと思います。野茂英雄さんがいての大谷翔平選手…とか? 先駆者の方々に感謝と心からの拍手ですね。👏

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